■概要■
血管内皮細胞は、様々な生理活性物質を積極的に分泌しており、血管周囲の細胞のホメオスタシスや活性化・不活性化状態を制御するニッチとしての機能を有する。申請者らは最近、二次組織に転移を果たした乳がん細胞が、非常に高効率で組織血管内皮細胞と密なコンタクトを形成することを示してきた。このような転移部位におけるがん細胞と組織血管内皮細胞のクロストークは、転移がんの生存や増殖、転移巣形成をサポートする極めて重要なマイクロニッチとして機能する。特に、転移初期段階で血管性マイクロニッチを破壊することができれば、転移がん細胞が依存するニッチが消失し、その後の転移進行を完全に抑制・予防できる可能性がある。本プロジェクトでは、血管が造る微小環境 「血管性ニッチ」の観点からがん転移の分子メカニズムを紐解き、これまで治療困難であったがん転移を根本的に駆逐するための新しい方法論の確立を目指す。