金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト×自己超克プロジェクト

区分1

海洋底掘削による環境変動/海洋プレート国際研究拠点の形成

プロジェクト代表者 
佐川 拓也
所属組織・役職等 
理工研究域 地球社会基盤学系 助教
研究分野 
鉱物学 地球科学 海洋学
海洋底掘削、環境変動、海洋プレート、国際研究
Ocean Drilling, Environmental Change, Oceanic Plate, International Research

■ 概要 ■
地球がどのような物質で構成されているのか、また過去にどのような環境変動・地殻変動が起こってきたのか、という疑問は地球人である我々にとって本質的な興味であるとともに、地球のダイナミクスを理解するうえで非常に重要である。海洋底は地球環境の変遷を記録した「地球史の語り部」であり、地球深部のマントル~コア変動ダイナミクスを探るための「地球の窓」である。本プロジェクトでは、国際深海科学掘削計画(International Ocean Discovery Program: IODP)への積極的な参加を通して、海洋底掘削試料(および、陸上に露出した海洋底試料)の解析から数万年~数億年スケールでの環境変動の復元、海洋プレート・マントルの物質科学的進化の理解を深めることを目的とする。同時に、マントル物質の直接採取を目指す『超深度マントル掘削計画』をさらに実現へと近づけるべく、国際研究チームを率いて掘削提案申請を行う。国際共同研究成果の発信と掘削計画の立案によって国内の海洋底掘削コミュニティーを牽引するとともに、海外研究機関との国際連携をさらに強め、海洋立国日本を支える海洋研究への即戦力の研究/教育/技術者を育成する国際的研究拠点となることを目指す

 

■ 特色と優位性 ■
人類未踏のマントル掘削計画をリードする研究グループ
本プロジェクト担当者はこれまで長年、国際深海科学掘削計画に参加し大きく貢献してきた。金沢大学のプロジェクト担当者は最近5年以内にIODPの4航海に参加し、過去の海洋プレートが陸上に露出した地域の国際陸上掘削計画にも参加している。学外のプロジェクト担当者もIODP航海に共同首席研究者などとして参加しており、掘削科学において国際的にリーダーシップを発揮している。IODP掘削試料を用いた研究、掘削計画の申請など本プロジェクトに関わる全てが国際共同研究であることは大きな特色であり、国際コミュニティーで活躍する若手研究者育成という点においても優位性がある。

 

特に、マントル掘削に関しては、金沢大学プロジェクト担当者が国際コミュニティーを牽引している。マントル掘削は地球科学分野において1950年代後半からの重要課題であるが、人類が未だ手にしたことのないマントル試料を採取する壮大な計画を、今まさに実行させようとする研究グループとして国内外から広く認知されている。

 

■ プロジェクトの3つの柱 ■
1. 海洋掘削試料を用いた国際共同研究成果の発信
2. マントル掘削実現に向けた国際コミュニティーの牽引
3. 環境変動研究のための新規掘削提案
これらの目的を達成するために、国際研究拠点として国内外の専門家との連携体制を強化するとともに、次代の海洋研究をリードする若手人材の育成を念頭に置いた拠点の構築に努める。

 

■ 将来構想 ■
海洋底掘削科学分野における中心的な役割を担う金沢大学
海洋底掘削試料の解析による国際共同研究成果の発信、海洋底掘削試料の採取に向けた掘削航海の立案(特に、国際深海科学掘削計画)を国内外の海洋研究拠点が一体となって行う。金沢大学が国際研究のコミュニティーの中核となってマントル掘削が実現した際には、人類が初めて手にするマントル試料による科学的ブレークスルーが大いに期待される。新たな科学的発見は、我々の住む地球の理解を大きく前進させるとともに、新たな疑問・課題を提供し,更なる国際研究の発展へとつながる”正のフィードバック効果”を生み出すだろう。

 

最先端の科学に若手が関わることで次世代のリーダーを育成していく。また、同時に海外研究拠点との研究・教育連携強化を行うことで、若手研究者が国際的感覚を養うことができる体制を整える。こうした活動により掘削科学分野に対して、成果による貢献、掘削提案による牽引、若手人材育成による継続性の確保という点で貢献できる拠点形成を目指す。

(挿入図)chozen-sagawa